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自動車産業激変とものづくり技術者が考えること

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自動車産業激変とものづくり技術者が考えること

日本の主要産業のひとつとして自動車産業があります。
私もその業界にいますので、今後、この業界がどうなるか大変興味がありますし、憂いを持っています。

自動車業界激変

今後の自動車産業について語りたいことはたくさんあります。

  • 電気自動車の比率が増えるとどうなるか?
  • 将来、自動車をとりまく生活はどう変わるか?
  • 自動車産業はどうなるか?
  • 自動車部品メーカーにどういう影響があるか。
  • そして、どのような技術者が必要になるか。

今回は、少し話を先取りして、将来的に自動車をとりまく生活がどうなるかについて話してみたいと思います。

CASE( ケース)とは

まず、現在の自動車の技術開発の動向です。
最近、自動車業界の注目のキーワードとして「CASE」という言葉をよく聞きます。
Connected(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電動化)の頭文字をとった新しい造語です。
この言葉が示すように、今後のクルマではエレクトロニクス技術と通信技術の重要性が一層高まるとされ、各自動車業界はその開発にしのぎを削っています。

そして、車は今より便利になります。

でも産業の規模としてどうなるかを考えた時、あまり期待できるものでないかもしれません。

自動運転が作る未来

いきなり結論ですが、将来的に自動車産業は大幅に縮小すると考えらえます。

自動運転が確立すれば、予約をすれば車が家の前まで来ます。そして運転手いらずで行先まで行けます。
これはすなわち、自分で車を保有する必要がなくなることを示しています。

また、ある研究では、完全自律型の十字路により、交差点に近づく自動運転車の速度を互いに制御することで、、現在の交差点と比べて車の流れが100倍もスムーズになり渋滞が起こらず、19パーセントの燃料節約も見込める。しかも信号すら不要にするかもしれない。そんな結果があるそうです。
つまり、自動運転することにより圧倒的に移動がスムーズになり、環境への影響も減るのです。

更に安全面でも大きな効果が期待されています。人為的なミスによる交通事故がなくなります。
日本での交通事故ので死者数は年間3千人弱です。この数字が減ります。自分で運転することが今以上に大きなリスクになります。

自分で運転するドライブが好きな人もいるでしょう。でも贅沢な道楽になる可能性があります。
自ら運転することが許されなくなり、ハンドルを握ることができるのは、金持ちがサーキットや専用の観光道路を走行するだけになるかもしれません。

つまり、一般生活においては、自家用車を所有することが減り、シェアサービスの車両の稼働率があがり、車両の生産数量は劇的に減ることになります。
一般消費者が車両を購入しない場合、その嗜好を考慮することも減り、車両の種類も大幅に減るでしょう。

しかも、既に、世界的に都市部の若者を中心に自動車購入意欲の減少傾向が強くなっています。
合わせて少子化人口減少により、先進国では車両保有数の減少が予測されています。
自動車メーカーの業績はその生産数量が寄与するところが大きいので、これは大きな懸念事項となります。

いつ、自動運転は一般化するか?

しかし、このような世界になるには、技術的な課題だけでなく、道路や通信インフラの整備、さらには法整備などが必要です。
再整備に対し、政治的、経済的意思が弱ければ、この新しい自動車社会はゆるゆるとやってきます。

つまり、現在の産業構造も維持・延命されることになります。

一方、いち早く対応した企業や国がイニシアチブを得ることになります。
アップルやグーグルの自動車参入が脅威を持って注目される理由です。
また、中国のような国が、政治的意思を持っていち早く実証・導入に進めば、将来的な自動車産業の技術リーダーが取って代わられてしまうことも考えられます。

現在、シンクタンクの予測では2030年までは世界の自動車生産数量は増加の予測がされています。しかし、これは主に新興国での増加に支えられています。
2030年以降には大きな地殻変動が起こるかもしれません。

日本は車両メーカーも多いですから、既存の自動車の生産・販売を延命させたい気持ちがあるかもしれません。
でも、技術の進歩は非情です。先を見通した戦略が必要です。

ものづくりの技術者は今から備えよ

大規模機械産業は、一般的に短期間の大きな変化に耐えにくい産業構造になっています。

一方、世の中の変化はより早くなってきています。

産業界でも政治の世界でも、先見の明を持ち、リーダーシップが発揮できる人材の台頭が求められますが、我々ものづくりの技術者もこういう時代の推移を理解し、自分のキャリア形成を考える必要があると思います。

特にものづくりの技術者の仕事は、市場に製品が出回る前の開発が仕事になります。

自動車関連の開発に従事される技術者は正に今から自分のキャリアを考える必要があります。

まとめ

メリット

  • 自動車の安全性が向上する。
  • 利便性が格段に向上する。渋滞が無くなり、運転が不要
  • 環境にやさしい。(エネルギ消費の減少、生産台数の減少)
  • 移動時のサービス、快適性がビジネスコアになる

デメリット

  • 自分で運転したいと思ってもできない時代がくるかも
  • 自動車が嗜好品としての商品価値がなくなる
  • 従来の自動車産業の崩壊、生産数量の減少

条件

  • インフラや法整備なの環境整備も影響する。
  • いち早く対応した企業や国がイニシアチブを得ることができる。

ものづくり技術者にとって必要なこと

  • 将来動向をよく把握しておくこと。
  • 今からキャリア形成を考えておくこと。
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