最近、車が自動運転になることのニュースをよく見ます。その影響は多岐に渡ることをご存知でしょうか?
今回は自動運転レベル5になった時の世界について解説します。
自動運転レベルって何?
自動運転でレベル3とかレベル4とか、こういう言葉を耳にします。
分かり安いのが、国土交通省の資料で2025年高速道路での完全自動運転を目指す。
これが自動運転レベル4に相当します。
どこでも完全に自動運転可能となった状態を自動運転レベル5と定義しています。
完全自動運転になった時の大きな変化3つのポイント
さて、自動運転が完全に自動運転(レベル5)になった後の世界について推測してみます。
まずは、完全自動運転になった時、従来からの大きな変化として以下3つがあげられます。
- 自動車に合理的な運転を設定できる
完全に統制された運転により、渋滞どころか、一次時停止も減ります。
昼夜問わず走らせることが可能で常に安定した速度で走行します。
トラックでは車間距離を極限に詰めて電車の様に連なって高速道を走る実験が行われています。これは空気抵抗が減り、燃費が向上します。 - 自動車生産量の減少
現在の車の稼働率は10%と言われています。
日本の場合、もっと少なく5%以下とも言われています。
つまり、5台走っている時、残りの95台は駐車場に止まっている状態です。
自動運転になると人が運転しなくても移動することができるので、シェアリングが一般的になり、稼働率が劇的に向上します。
個人所有が一般的でなくなり、車の生産台数が減少します。 - 運転をしなくてよく、自動車の安全性が向上する。
ドライバーを必要としません。
事故も減少します。また事故が起こったとしても運転手はおらず、事故責任は車両管理やシステム運営側になります。
自動運転により発生する4つの大きな影響
先に述べた3つの大きな変化は、以下のような影響を社会に及ぼすと考えられます。
- 地球環境への負荷が大幅に減少
車両の生産台数が圧倒的に減ります。新たな資源を使わなくて済むのでこれは地球環境負荷低減に大きな貢献となるでしょう。そして、自動運転による燃費が大幅に向上します。 - ライフスタイルの変化
運転に時間を費やす必要がありません。
車中の時間が完全に可処分時間となり、新たなサービスやビジネスに発展する可能性がある。 - 産業の激変
新しい産業も生まれますが、無くなる業界業種があります。
様々な業界・業種で大きな影響が発生すると考えられます。 - 社会構造の変化
多くのカメラを用いて運転する車両のモニターをコネクティングすることで、防犯に役立つ一方、監視社会のリスクも裏腹の関係です。また、システムエラーの影響やサイバーテロのリスクが大きくなります。
他にも自動運転が直接的な要因でないとしても、新しい技術やインフラが整うことであらたな社会構造を副次的に作っていく可能性があります。
具体的な産業・職種への影響
具体的に産業や職種への影響に注目してみます。
今言われているだけでも、以下のような影響が指摘されています。
- 既存自動車メーカーの崩壊
電気自動車への切替自体が、大きなインパクト、続けて自動運転により車両生産の激減により、部品メーカー含む自動車産業が縮小する。
個人所有がなくなり、コンシューマー向け販売ディーラがいらなくなる。
整備関連の仕事も大幅に減少する - 駐車場が不要となり、地価への影響がある。
- 石油元売り会社、ガソリンスタンドへの影響
エネルギーがガソリンから電気にシフトし、ガソリンスタンドがいらなくなる。 - バス、トラック、タクシーの運転手が不要になる
- 自動車免許がいらなくなる。教習所もいらなくなる
- 自動車保険がいらなくなる。保険業や関連弁護士への影響
- スピード違反も交通事故もなくなり、交通関連の警察もいらなくなる。
交通ルールも大きく変わる - 物流が大幅に効率化され、流通コストが下がる。
- 電気エネルギーの需要増に伴い、再生エネルギー関連ビジネスが増加する
- 自動運転に伴う交通インフラ産業の拡大
自動運転に適した道路・交差点に変更。将来的に信号は不要になるかもしれない。 - 車両内での余暇時間をターゲットにしたビジネスがでてくる。
- 車両制御に関わる産業が発展し、関連するエンジニアの需要が急増する。
時代の変化を振り返る
こういった変化は2030年くらいから始まると予想されます。一般的な状況になるには更に10年必要かもしれません。
でも、実際にはいつ頃から始まるか読めない要素が沢山あります。
例えば社会ニースが強まらなければ既存産業の人達は現状維持を望む抵抗勢力となり、より時間をかけ慎重な導入となるでしょう。
また、例えば中国などで先行して開始されると、やれ急げと追随する国も多くでるでしょう。
いずれにしても、その頃には、他のIOT技術も発展して、新たな生活様式になっている可能性があります。
例えば、働き方も変わっているかもしれません。在宅で働くことがより一般的になれば、自動車で移動するニーズ自体がもっと減っているかもしれません。
時代を振り返れば、1908年、T型フォード誕生し、1900年代初頭で馬車から自動車への転換がありました。
自動運転による社会変化はその時以上に影響が大きいように思います。
なぜなら、馬車から自動車への転換は1世代くらいかけたゆっくりとした変化(当時の人は急速な変化と感じたでしょうが)であったのに対し、現在の時代変化はより短期間で起こるからです。
近代の例で言っても、パソコンやインターネットの普及が10年くらい、携帯電話の普及は更に短くなって5年くらいでしょうか。
まとめ
このような時代であることを理解し、
時代の変化をイメージ・体感し、
時代の変化の恵を享受したいものです。
自動運転車は産業を大きく変えることになりますが、決して悪いことではありません。
古いものを新しいものに取って代えてきた人類の発展の歴史の一コマです。
馬車がなくなり、自動車に取って変わった歴史と同じことが今起こるわけです。
今を生きる我々にとって、職を失うような影響を受ける人もいるでしょうし、ビジネスチャンスも沢山出てきます。
でも、大きな時代の変化は総じて大きな利益をもたらしていくのです。
最後に
最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、生き残るのは変化できる者である。
チャールズ・ダーウィン