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その朝礼必要ですか?激動の時代、製造業が対処すべきことは?

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その朝礼必要ですか?激動の時代、製造業が対処すべきことは?

ちょっと反論したい記事があったので紹介します。
その記事では『あたりまえのことを社員に浸透させるためには、一見バカバカしい朝礼を実施することが効果的だ。』と話しています。

朝礼に関する記事

記事

プレジデントオンライン2/26(金) 11:16配信
『ほぼ全員がムダと思っている「朝礼」を、日本企業がやり続ける本当の理由』

要約すると次の通り

記事抜粋

■「個々人が主体性を持って動く組織」は参考にならない。
個々人が主体性に基づいて動きながら、組織の大目標に向かって調和して動いていける組織体は理想だろう。しかし、実際の企業経営では、そのようにならない。

■習慣と制約をつくるのがマネジメントの役割
起業して5年で会社をゼロから年商10億以上、数十名規模まで拡大した。創業当初は、「個々人が有機的に働く組織」まさにティール型のような組織を理想と思っていたが、現実と理想の間でだんだんと判断を現実側に倒していった。
しかし、事業を拡大するにあたり、どうしても「松竹梅」の「梅」の層を活用しないと、手が回らなくなってくる。そのとき、「梅」のメンバーをマネジメントする方法として、「朝礼」「日報」のような一見バカバカしい手段に着地するのである。

■面倒な「朝礼と日報」は馬鹿にできない
多くのメンバーが「当たり前のこと」ができない。その現実があるのなら、「朝決まった時間に集まり、今日の予定を話す」「業務が終了したら、今日やったことを報告する」という同調圧力と監視の仕組みを導入するしかないのだ。

■「イニシエーション」としての理不尽研修
要は、組織の力というのは、「組織の理屈」を個々人に押し付ける力とニアリーイコールであり、「全員で富士山に登る」とか「全員で同じ弁当を食べる」というような、意味の分からない風習・習慣こそが組織に共通の思い出を根付かせ、結束力を強くするのである。

■「宗教っぽい会社」はダメなのか?
転職を考える際に、「あの会社は宗教っぽいからやめておこう」という判断をする人は多いだろう。その判断は半面で正しい。「宗教っぽさ」を背景に違法労働を強いる企業は少なくない。
他方で、アップルやディズニーなど、熱狂的なファンを生み出す企業は、ある種の「宗教っぽさ」に基づいていることも間違いない。そうした組織は、熱狂を生み出すだけの明確な価値基準をもっている。そうした価値基準と自分が合うのであれば、勇気をもって身を投じてみるのも一つの選択であると考える。

私はものづくりのコンサルタントとして、この考え方に強く反論したいです。

なぜなら、この考え方は現在の多くの製造業にまん延している考え方であり、そのような考え方ゆえに衰退から逃れることができないでいると考えるからです。

朝礼について

  • 朝礼が有効であった事実は短期的なものである。長期的には有効ではなく、成長阻害要因になる。
  • 時間を守らせることが目的なら、そのために一番有効でリーズナブルな手段を使う。スマホなどのITツールを最大限使う。
  • 意思伝達が目的な場合もツールの活用を最大限考える。顔を突き合わせて指示・確認する必要があるなら、それに特化したスタイルをとればよい。朝礼というより、目的にあう名称にした方がよい。『10分デイリー進捗会議』とか。

マネジメントの役割とは

組織の「目標・案件・プロセス」を管理することが本来のマネジメントの役割です。
このために個々の人の行動や考え方の管理をするべきということで記事が書かれている様に思います。でも、それは近頃の働き方にあっていません。

終身雇用も崩れ、会社永続も難しい世の中です。

『松竹梅』の梅の仕事については、

  • 仕事のやり方を変えてなくせないか
  • IT活用で無人化できないか

を考えるべきです。また取り急ぎであれば

  • 派遣社員が有効な手段です。

多くをマルチにこなすのではなく、設定された仕事に特化したある種プロフェッショナルの派遣社員は、梅の仕事をカバーできるでしょう。

派遣社員の場合、朝礼があってもなくても、アウトプットに変わりはないでしょう。

製造業のイニシエーションとは

富士登山など、単発/レクリエーション的なイベントは特に異論はありません。
でも、朝礼のように継続的に行うことで、統制を図るというイニシエーションは良くないです。
宗教じみているのも時にはよいと、アップル、ディズニーを例にあげていますが、やり方に違いがあります。

例えば、『毎日、朝礼で社是を唱和することで、意志や目標の統一を図る。』ような会社があったとします。
ディズニーではそんなことはしないでしょう。
考えを同じにする人を採用する、研修などの機会に会社の指針を説く、そういうことはあるでしょう。しかし、毎日同じことを強制的にさせることで、同じ意志を持たせようという洗脳に近いやり方はしないのではないでしょうか。

製造業でイニシエーションとして有効なものと言えば、TPMやQCサークル活動などはそれに当たるかもしれません。
でもマンネリ化して実益がなければ、朝礼と同様の状態と化してると言えるでしょう。

一番いいのは、実際の品質問題や顧客クレーム、顧客要求など、特に苦しい思いをする案件について、対応に参画し活動を実体験することだと思います。
どうせやるなら、このようなOJTが効果的です。

用語解説 イニシエーション

ある集団や社会で、正式な成員として承認されること。また、その手続きや儀式。

  • 成人式・入社式はその一形態。

その記事では、以下をイニシエーションの例としてあげている。

  • 電通の新人研修の「富士登山」
  • かつて鉄の結束を誇った自民党竹下派・経世会の「一致団結箱弁当」

 

これからの製造業に求められること

製造業は今後ますます激動の時代を迎えます。
『馬鹿らしいけど、梅の人材をマネジメントするのに、朝礼継続が一番有効だ』みたいな考えで勝ち組になれるとは到底考えられません。
事業活動の不足を補うために、事前に人材を抱え、育成するという従来の雇用形態は既に終わりを迎えています。

業務の多くはITに置き換え、またはアウトソーシングを積極的に活用する時代です。
リモートワークなど働き方も多様化してきています。
そして、会社経営は自社がうまくやれているつもりでも、他社がよりうまくやっていたら、売り上げは伸びません。
必要なものは残すべきですし、新しいものにもアンテナを張る。

そして、最適なマネジメントを目指しましょう。

この時、惰性でやっている朝礼は真っ先に見直されるべきものだと考えます。

最後に、転職の勧め

私は、ものづくりに関わるエンジニアは転職でキャリアを積むべきだと考えています。
特に、朝礼を惰性でやっている会社に勤めているエンジニアは、そうじゃない会社を探し、転職してみると良いでしょう。違うやり方を早めに経験することが、技術者としてのスキル向上にも、その後の時代変化への適合性にも良い影響を与えると思います。

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