『人々の働き方が大きく変化している』とか、『終身雇用が揺らいできている』とか言われています。
今まではどういう働き方で、これから、どういう働き方になるのか?
特に製造業に焦点を当てて解説します。
日本の働き方って独特、『終身雇用制度』を解説
日本の特徴的な雇用形態の『終身雇用制度』を理解するとよくわかります。
まず、終身雇用とは、規則や法律で定められたものではなく、あくまで雇用慣行であり、日本特有のものです。
終身雇用制度が始まったのきっかけは、パナソニックを築き上げた松下幸之助と言われています。
1929年の世界代大恐慌の時代、松下幸之助は、当時の松下電機の経営状況が悪化しても一人の社員を首にすることなく、雇用を維持したのです。
その後、松下電器が急激な成長を実現したわけですが、苦しい時に雇用を維持し続けたことによる社員や世間から信頼も一因だと言われています。
これが、従業員を長期的に雇用する終身雇用制度の始まりだと言われています。
その後、1950年から1960年にかけて、日本は高度成長期を迎えます。
高度成長期は常に人材不足に悩まされており、人材離職の防止として、会社への帰属意識を強める必要がありました。
その結果、主に新卒の学生を一括採用し、入社後に研修などを実施し長期的に必要となるスキルを身につけさせ、年齢とともに給料を上げ、社員が安定して生活できるように定年まで面倒をみるのが当たり前になったのです。
これが終身雇用制です。
しかしながら、時代は変化する
この終身雇用制度は、『とにかく作れば、ものが売れる。』という1950年代から1970 年代の高度成長期に生み出した慣例です。
企業が常に成長する、経営がいつまでも安定していることが確実と思われていたから、可能だった雇用制度になります。
今はIT技術の到来で、新しい産業が生まれ、古い産業が消えていくサイクルがものすごく早くなっています。
例えば電気自動車が復旧すれば、今までエンジンを作っていた会社で作るものがなくなります。
デジカメやカメラ付き携帯電話の普及により、写真現像の装置や薬液の産業が無くなり、たくさんあった写真現像のお店もほとんどなりました。
携帯電話の普及で、自宅に固定電話の設置が減ったり、公衆電話が無くなったことも、それを生産していた工場には影響があったでしょう。
このように、今の時代は技術の進化による生活様式の変化が、製造業の経営に大きく影響するのです。
作るものが無くなれば、それに従事していた人達にも直接影響がでてきます。
更に、IOTや自動化の波がやってきます。
多くの作業者が不要になることが推測されます。
一見、複雑そうに見える事務作業も、自動でやれるようになります。
そういう世界がくることを想定して、自分のキャリアを考える必要があります。
もう、終身雇用がどうこう言ってる場合ではなくなっています。
『メンバーシップ型雇用』と『ジョブ型雇用』
もうひとつ働き方のタイプについて解説します。
終身雇用制度での働き方は『メンバーシップ型雇用』と言われます。
新卒一括採用ののち、適性を見て職種を割り当てる。
同じ企業の中で勤続年数を重ねることで給与や役職がアップするため、転職を経験しません。
一方、海外では、ポジションに応じて適格なスキルがある人を雇用する『ジョブ型雇用』が一般的です。
採用された際に決められた職務範囲から外れることはなく、労働者の専門性によって職務が決まります。
「人事として採用されたが、数年後に営業に異動になった」というようなことは発生しません。
海外では『ジョブ型雇用』が一般的であり、日本も終身雇用の崩壊とともに『ジョブ型雇用』への移行が始まっているのです。
これからの働きかた
これらの背景から、企業からの求人は、多様なニーズが出てくると考えられます。
製造業の求人も、単純労働は無くなりは品けど、従来より現状、時給が上昇しないことが推定されます。
そして、従来にも増して、経験やスキルを求めることが増えてくるでしょう。
このような『ジョブ型雇用』は、もともと派遣社員のような働き方に近いです。
高スキルを有する専門職の場合は、『フリーランサー』のような言い方の方がイメージが合うでしょうか。
また正規雇用であっても、長期間同じ会社にいることを想定しない。転職でキャリアアップを考えることが、一般的になっていくでしょう。
つまり、勤務時間や勤務地などの自由度、今後のキャリアや得たい経験を考慮して仕事を選ぶことが一般的になっていきます。
一方、キャリアやスキルで、仕事の選択範囲や給料に差が出てくるようになるとも言えます。
まずは、こういう時代になってきていることを認識して、自分の現状をよく整理してみるところから始めるのがよいでしょう。