きちんと叱ることができますか?
怒る(おこる)と叱る(しかる)は全く違います。違いを言えますか?
ある研修で学んだことを自分なりに整理したものです。
きちんと叱ることは、会社での部下の指導だけでなく、親子の間でも重要です。
さて、どういうことなのか見てみましょう。
叱ると怒るの違い
まずは違いからです。
叱る
目下の者の言動のよくない点を指摘して、強くとがめる。
相手の事を考え、相手に気付きを与える行動。
すなわち、これは理性的な行動=適切な行動
怒る
相手のよくない言動を強くとがめること。
不満・不快なことがあって、がまんできず、気持ちを表す。腹を立てること。いかる。
これは感情的な行動=やってはいけない行動です
ハラスメントの観点から怒ることは、もう許される時代ではなくなりました。
それだけでなく、叱ると怒るでは、相手を指導し向上させることの効果も違います。
適正に叱る方が、改善効果が大きいことを理解しましょう。
叱る目的
適正に叱るためにも、叱る目的を理解することも重要です。
以下のことは当たり前のようなことですが、一度これを見て、少し気づくだけで行動を変えて行くことができるでしょう。
- 社会的常識や基準から逸脱した行動を戒める。
ルール違反やマナー違反をしている人を放置していると、組織が崩壊します。
マナー違反や逸脱行為については、しっかりと叱り、正さなければなりません。 - 業務上のミス、またはあるべき水準に達していないことを部下に自覚させる。
この場合は、本人だけでなく上司にも責任があります。
やり方を教えないでその業務をさせたり、部下のレベルを確認していなかったり、する場合、必要なサポートの対処が必要であり、上司の役割になります。
頭に来た時、カッとなって言いたくもなるかもしれません。でも頭に来たから怒るのではいけません。なぜ頭に来たのか、冷静に考え、その中から叱るポイントに絞って指摘するのです。
嫌われる叱りかた
叱りかたで相手の理解度は変わります。相手が嫌がる叱り方は、もちろん相手の理解度をあげる効果が少なくなるでしょう。
叱る時にやってはいけないこと、守るべきことを整理しました。
- 行動ではなく相手の人格に焦点をあててはいけません。
- 過去を蒸し返すようなことを言ってはいけません。
リアルタイムでその場その場で注意するべきです。複数の案件を貯めておき、後から一気にまとめて言うのはNG - 感情的にならない、言葉の暴力はふるわない
- 「いつも」、「また」という言葉で、相手の行動を一般化しない。
叱る時は。その時の行動に絞ること。 - 長い
叱る時間と効果は比例しません。時間は15分~30分程度が適当です。 - 無責任はNG
- 「上が言っているから」、「方針だから」など自分以外のことを理由にしない。自分の言葉で叱ること。
- 比較しない
誰かと比較して叱るのは、自尊心を傷つけ自信を喪失させてしまうのでNG - 一貫性がない
叱る基準がコロコロと変わってはいけない。偏りのない対応をする - 他の人に話を聞かれないように1対1で叱る
- 圧迫感を感じさせないように開放的な部屋を利用する。
- 「ほめる」を先に「叱る」を後にする。
部下の気持ちをほぐして「聞こう」とする姿勢ができてから叱る方がよい。
これらを念頭に置いた時、勘違いしてほしくないのは、『優しく叱るのが良いわけではない』ということです。
叱る側が委縮しては本末転倒です。
厳しく叱ることがより重要で、効果的な場合もあります。
でもきつく叱る時こそ、冷静に、上記注意事項を頭の片隅で意識して、叱りましょう。
まとめ
最後に『二宮尊徳』の名言から。
「可愛くば五つ教えて三つほめ二つ叱ってよき人とせよ」
ほめてばかりではなく、きちんと叱らなければ、「良き人」は育たない。という、二宮尊徳が考える人間教育の基本思想だと思います。
会社は人間組織ですから、指導者の役割が重要になります。上手に叱れるようにスキルとして身に付けたいですね。