中国のEV(電気自動車)の増加はどういうレベルなのでしょうか?
中国での新エネ車の販売状況などを分析しました。
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中国の新エネ車の販売状況を調査
中国で開示されているデータから、中国の新エネ車の販売状況を調査しました。
中国の自動車販売数
中国 国家統計局のデータによると、実は2016-2019年の中国の自動車生産台数は年々減少傾向となっている。
2019年の中国の自動車生産台数は2553万台で、前年同期比8.24%減少している。
(2020年は上半期分のデータであることに注意)
新エネルギー車の生産数量と販売数量の年次変化
次に中国自動車工業会のデータから新エネルギー車の動向を見てみましょう。
2019年の新エネルギー自動車の生産・販売台数は124.2万台と120.6万台で、前年同期比2.3%減と4.0%減となっています。
これは政府の新エネルギー車への補助金が一段落した影響と思われます。
しかし、2020年の生産・販売台数は、それぞれ136.6万台・136.7万台で、それぞれ前年比7.5%と10.9%と再び増加に転じました。
コロナ禍で車両の販売自体が減少している中での増加であり、勢いを感じます。
日本国内販売台数との比較
日本国内の乗用車販売台数と比較し、全体感を確認してみましょう。
2019年をみると日本の販売台数は520万台であり、中国の販売台数は2577万台となっており、5倍強です。
日本の車両販売は横ばいとなっていますが、中国販売台数は減少してきています。つまり差は小さくなってきているのですが、それでもこれだけ差があるのです。
そして、中国での新エネルギー車の販売台数ですが、増加傾向とは言っても、2019年で121万台と、全体の約5%を占めている状況です。
注:
- 2020年中国乗用車生産は上半期のみの集計値。
- 日本国内販売は、一般社団法人日本自動車販売協会連合会ホームページ
新車・年別販売台数(登録車+軽自動車)の数値を引用
新エネルギー車の中の純電動車の比率
さて、今後は中国の新エネルギー車の割合を見てみましょう。
2019年の純電気自動車の生産台数は前年同期比3.4%増の102万台に達し、販売台数は1.2%減の97万2000台に達した。
プラグインハイブリッド車の生産・販売台数はそれぞれ22万2000台と23万2000台で、前年同期比22.5%と14.5%減少しました。
そして、燃料電池自動車もあります。生産・販売台数はそれぞれ2833台と2737台で、前年同期比85.5%増と79.2%増となっています。
2020年では、純電気自動車の生産・販売台数はそれぞれ110万5000台と111万5000台で、それぞれ80.89%と81.57%となります。
プラグインハイブリッド車の生産・販売台数はそれぞれ26万台と25万1000台で、それぞれ19.03%と18.36%を占めた。
燃料電池自動車の生産・販売台数はいずれも0.1万台で、生産・販売台数の割合はいずれも0.1%未満でとなっている。
注目点は以下2点です。
- 日本と違って、圧倒的にハイブリットよりEV車両が多いこと。
- EV車は増加し、ハイブリットは減少していること。
- 燃料電池車も開始していること。
中国の新エネルギー車の輸出量は
次に、中国税関の統計値から、中国の新エネルギー自動車の海外輸出の状況です。
これは高い比率で年々増加傾向にあります。
2019年の年間輸出は25万4000台で、前年同期比72.8%増加。
記事によると、2020年上半期、中国の新エネルギー自動車輸出は3万6900台で、前年同期比で140.7%増加した。
輸出額は11億200万ドルで、同271.6%増加した。
このうち、純電気自働車の輸出は136%増の2万1500台だった。輸出額は3億6300万ドルで、前年同期比1122.9%急増した。
電気自動車の輸出量の増加の勢いがすごいです。
佐川急便の宅配車の全面電動化は2022~2030年で7200台とされています。今後この数量が追加されるわけです。
注意:2020年は上半期のデータです。
中国の新エネルギー車の将来数量
最後に 2020年11月2日、中国国務院が発行した「新エネルギー自動車産業発展計画(2021 ~ 2035年)」を参照します。
『予想』ではなく『計画』であるところがChina wayです。
発表によれば、
- 2025年までに、中国の新エネルギー自動車市場の競争力が著しく強化され、3大電気分野で重要技術の重大な突破を達成すると指摘
- 新エネルギー自動車業界の発展の見通し:2026年の販売台数は約280万台に達する
- 純電気乗用車の新車平均消費電力は100キロ当たり12.0キロワット/時となる
- 新エネルギー車の新規販売は新車販売全体の約20%に達する
- 高度自動運転車の限定エリアやシチュエーションでの商用化が実現し、充電サービスの利便性が飛躍的に向上する
- 2035年までに中国の新エネルギー自動車の核心技術が国際先進レベルに達するように努力する
とあります。
そして、純電気自動車が新たな販売車両の主流となり、公共用車両の全面的な電気化、燃料電池自動車の商業化、高度自動運転車の大規模化、充電サービスネットワークの利便性と効率性、水素燃料供給システムの構築が着実に進められているとあります。
技術革新の分野でも、は新エネルギー自動車産業が攻略しなければならない課題として、純電気分野の動力電池、os、充電杭(小さい充電ポイントのこと)など、水素エネルギー分野で、水素制造、水素貯蔵、輸送を中心とした低コスト水素エネルギーシステムの構築などが挙げられています。
まとめ
海外からみて、中国の発表がブラフであったり、信ぴょう性が疑われらりすることが多々ありますが、中国の報道には強い意志を感じます。時によっては強引な進め方をするための事前通知や呼び水であったりもします。
多様な報道が少ないというのは、当然、別の課題があるかもしれませんが、産業の発展に関してみればすごいダイナミズムを感じます。
巨大国家が、計画的主導で産業を発展させるこの状況に対し、日本はどのような戦略で対抗するのか。
科学技術立国日本、ものづくり大国日本と将来も言ってられるのか。